メディグルコラム
地域医療連携に関する
お役立ち情報を発信
2024.05.15
2024年度の診療報酬改定は、診療報酬だけでなく介護報酬や障害福祉サービス等の報酬も改定される「トリプル改定」として様々な分野から注目を集めています。診療報酬改定により、医療体制や地域医療連携はどのように変化するのでしょうか。
本コラムでは2024年度診療報酬改定のポイントや、地域医療連携で注目すべき「下り搬送」、そしてどのような対応ができるかについてまとめています。
1) 4つの基本認識と8つの改定項目
まずは今回の診療報酬改定においてのポイントとなる、4つの基本認識と8つの改定項目について説明していきます。
下記は、前回の令和4年度診療報酬改定と、今回の令和6年度診療報酬改定における改定にあたっての基本認識です。
前回は、新型コロナウイルス感染症感染拡大を受けた医療提供体制の構築・課題対応や、「全世代型社会保障」の実現が挙げられていたのに対し、
今回の改定では、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、医療DXやイノベーションの推進による質の高い医療の実現、などさらに医療体制をレベルアップさせることが求められている印象です。
次に、令和6年度診療報酬改定の主な改定項目について、地域医療連携や医療DXに関連する部分をまとめました。
医療・介護の連携や、地域での医療連携がさらに求められていることが分かります。
この中でも今回注目するのは、「8.重点的な分野における対応」において、働き方改革も踏まえ、救急患者のいわゆる「下り搬送」に診療報酬が加算される点です。
(救急患者連携搬送料:600~1,800点)
昨今の救急医療の現状としては高齢者の人口増加に伴い、高齢者の救急搬送人員が増加し、中でも軽症・中等症が増加しています。
そこで、入院治療の機能分化及び受入体制の確保のため、高次の医療機関からの転院搬送の促進の必要性が指摘されています。
高次の医療機関と地域の一般病院が日頃から連携関係を構築し、高次救急病院に搬送された患者について「連携する一般病院でも対応可能」と判断された場合に「転院搬送」することを「下り搬送」と言います。
厚生労働省-救急医療についてより作図
下り搬送が適切に行われることで、高次の医療機関が本来対応すべき重症患者を、空床が無いなどの理由で受け入れられないという事態を防ぐことができます。
そして下り搬送をスムーズに行うには「高次の医療機関と地域の一般病院の日頃からの連携」と「下り搬送先を探せる体制」が必要です。
ベルランド総合病院様
ベルランド総合病院様は、大阪府堺市医療圏に位置する急性期病院です。
一般紹介・救急ともに「断らない医療体制」を整え、救急搬送は月間1000件以上受け入れられています。断らない医療体制をとられているため、救急の患者さんも必ず一旦受け入れ、必要に応じて下り搬送を行われています。
2023年より、下り搬送の体制強化のため総合急病救急センターにMSWを配置されるとともに、メディグルのかかりつけ医検索システムを用いて救急診療後に専門の医療機関を案内したり、介護認定があれば介護機関とつないだりを、看護師と連携して行われています。
2024年度の診療報酬改定と、今回加算される「下り搬送」についてご紹介いたしました。
今回は高次の病院側の事例をご紹介いたしましたが、下り搬送をスムーズに行うには、高次の病院が搬送先を見つける体制、そして一般病院の受け入れる体制といった、地域全体での病院同士の連携が大切になります。
新型コロナ感染症や診療報酬改定など、医療業界が日々変化していく中で、地域の病院同士、クリニック、介護との密な連携はますます重要になるでしょう。
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