メディグルコラム

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2026.10.09

紹介状の電子送付に備える 電子カルテ情報共有サービスと地域医療連携室

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紹介状(診療情報提供書)のやりとりは、紙に印刷し、郵送や患者さんの持参によって届ける形が続いてきました。地域医療連携室では、紹介状の受け取りや確認、院内への取り込みに日々多くの手間をかけている方も多いのではないでしょうか。

厚生労働省は、電子カルテについて「遅くとも2030年には概ねすべての医療機関において必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指す」としています。

その基盤となる電子カルテ情報共有サービスは、令和8年度冬頃の全国での運用開始を目標に準備が進められており、紹介状を紹介先へ電子送付する仕組みも含まれています。

紹介状が電子で届くようになると、地域医療連携室の業務はどのように変わるのでしょうか。

また、運用開始までに何を準備しておけばよいのでしょうか。

本コラムでは、2026年8月の社会保障審議会医療部会に提出された報告資料と、厚生労働省の概要案内をもとに、電子カルテ情報共有サービスによる紹介状の電子送付の仕組みと運用上の注意点、地域医療連携室が今から準備できることについて解説していきます。

この記事のポイント

  • 電子カルテ情報共有サービスは令和8年度冬頃の全国運用開始を目標とし、紹介状を紹介先へ電子送付する機能を含みます。
  • 紹介状の電子送付には患者さんの口頭同意が必要で、紹介先が受領した後は1週間程度で自動消去されます。
  • 受け入れ調整専用の機能はなく、運用開始段階では、まず地域医療支援病院を体制整備の努力義務の対象として指定する方針です。

1.電子カルテ情報共有サービスで共有できる情報

電子カルテ情報共有サービスは、受診時にマイナ保険証で受付をし、患者さんが情報提供に同意することで、医療機関で記録された電子カルテ情報の一部を、全国の他の医療機関等で閲覧できる仕組みです。

厚生労働省の概要案内では、このサービスで扱える情報として次の8つが挙げられています。

・文書:診療情報提供書、退院時サマリー、健康診断結果報告書
・臨床情報:傷病名、感染症、薬剤アレルギー等、その他アレルギー等、検査

なお、電子カルテに記録された情報がすべて共有されるわけではありません。

概要案内のQ&Aでは、診療録(SOAP)に記載した患者所見や診療業務上のメモ等が全て共有されるわけではないと説明されています。

電子カルテについては、導入済みの医療機関には次回更改時に共有サービスに対応するシステム改修等を、未導入の医療機関には共有サービスに対応できる標準化された電子カルテの導入を進めるという方針が示されています。

紹介状と退院時サマリーという、地域医療連携室が日々扱う文書が共有の対象に含まれていることは、連携業務の今後を考えるうえで見逃せない点と言えるでしょう。

2.紹介状の電子送付で変わること

電子カルテ情報共有サービスのうち、紹介状のやりとりに関わるのが「文書送受信サービス」です。ここでは、その仕組みと期待される効果、運用面で押さえておきたい点を整理します。

1)文書送受信サービスの仕組み

文書送受信サービスは、診療情報提供書(紹介状)を、紹介先の医療機関等宛てに電子送付できる仕組みです。紹介先の医療機関は、送付された診療情報提供書をすぐに閲覧できるようになります。

診療情報提供書は、厚生労働省の診療情報提供書様式(別紙様式11)に対応しているほか、さまざまな関連情報を登録できます。また、次のような添付も可能とされています。

・退院時サマリー(診療情報提供書の添付情報として、紹介元・紹介先の医療機関間で送受信できる)
・キー画像(PNG・JPEG・TIFF形式)や各種検査レポート等(PDF形式)

紹介状と退院時サマリーを、一つの流れで電子的に届けられることが、このサービスの特徴と言えます。

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2)紹介元・紹介先・患者さんそれぞれのメリット

概要案内では、文書送受信サービスのメリットが立場ごとに示されています。

・紹介元の医療機関:紙での印刷・郵送にかかる事務コストの削減と業務効率化が期待できる
・紹介先の医療機関:リアルタイムに診療情報提供書を受信でき、事前に閲覧できる。電子情報のため、スキャン等にかかる事務の手間を削減できる
・患者さん:診療情報提供書が出来上がるまで待合室等で長時間待機しなくて済む。診療情報提供書の持参忘れも防止できる

紹介状を受け取る側にとっては、受診前に内容を確認でき、スキャンなどの取り込み作業も減らせる点が大きいでしょう。紹介状の受け取りや院内での回覧を担う地域医療連携室にとっても、業務の進め方を見直すきっかけになると考えられます。

3)運用面で押さえておきたい4つのポイント

概要案内には、実際の運用に関わる記述もあります。

地域医療連携室の業務に関係しそうな点を4つ挙げます。

①送付前に患者さんの口頭同意が必要
紹介先の医療機関に送付する前に、口頭で患者さんの同意を得る必要があるとされています。

誰がどのタイミングで同意を確認し、どのように記録するかは、院内で決めておく必要がありそうです。

②受領後は1週間程度で自動消去される
診療情報提供書の保存期間は、サービスへの登録日から180日間です。

ただし、紹介先の医療機関が受領した後は、1週間程度後に自動消去されるとされています。

受け取った紹介状を院内のどこに保存し、誰が確認するのかを、あらかじめ決めておくことが求められるでしょう。

③電子署名は医療機関の判断
本サービスでは、医療機関の判断で電子署名を行わなくても共有できるとされています。

電子署名を行うかどうかは、院内で方針をそろえておくとよいでしょう。

④受け入れ調整専用の機能はない
電子カルテ情報共有サービスには、診療情報提供書を送付する前の、事前の受け入れ調整専用の機能はありません。

一方で、受け入れを打診する際の診療情報提供書の送信に利用することは可能とされています。

受診日時の調整や予約は、これまでどおり電話・FAX・WEB予約などの手段で行い、紹介状の電子送付と組み合わせて運用することになると考えられます。

3.運用開始までのスケジュールと地域医療支援病院の位置づけ

次に、運用開始に向けたスケジュールと、制度上の位置づけを確認します。

1)令和8年度冬頃の運用開始が目標

電子カルテ情報共有サービスは、令和7年2月からモデル事業が順次開始され、令和8年度冬頃からの運用開始を目標に検討が進められています。

2026年8月の社会保障審議会医療部会の報告資料では、全国10地域でのモデル事業において、運用の検証や課題の確認などを進めていると報告されました。

概要案内のスケジュールでは、全国的な運用開始の後は、医療機関等の準備が完了次第、順次運用開始とされています。

すべての医療機関で一斉に使えるようになるわけではない点に注意が必要です。

また、利用にあたってはオンライン資格確認を導入している必要があります。

医療従事者が情報を登録・閲覧する際に参照する「医療従事者向けの指針」も検討が進められており、運用の細かなルールは今後示される見込みです。

2)地域医療支援病院に求められる体制整備

医療介護総合確保法(地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律)第38条第2項では、地域医療支援病院その他の厚生労働省令で定める病院の管理者は、電子診療録等情報の提供と、その情報を利用する体制の整備に努めなければならないとされています。

社会保障審議会医療部会の報告資料では、この体制整備について、サービスの運用開始の段階では、まずは法律上で想定された地域医療支援病院を指定したうえで、運用開始後も含めて努力義務の対象の拡大について引き続き検討を進めていくとされています。

地域医療支援病院の地域医療連携室では、運用開始を見据えて、情報システム部門や医事部門と早めに情報を共有しておくとよいでしょう。

対象の拡大も検討されているため、地域医療支援病院以外の病院でも、今後の動向を追っておくとよいと考えられます。

3)歯科は令和11年度からの開始を目指す

同じ報告資料では、歯科の医療DXの工程表(案)も示されました。

歯科の診療情報提供書の共有については、令和9年度に電子カルテ情報共有サービスの改修を実施し、検証事業を経たうえで、令和11年度から開始することを目指すとされています。

医科歯科連携に関わる病院では、あわせて押さえておきたい情報です。

4.地域医療連携室が今から準備できること

ここまで見てきたように、紹介状の電子送付は、紹介元・紹介先の双方が対応して初めて効果を発揮する仕組みです。運用開始までの期間を使って、地域医療連携室として準備しておけることを考えてみます。

1)紹介状の流れを棚卸しする

まずは、自院で紹介状がどのように届き、どのように送り出されているかを整理しておくとよいでしょう。

郵送、患者さんの持参、FAXなど、経路ごとに受付・確認・院内への取り込みを誰が担っているかを書き出すと、電子送付が加わったときにどこを変える必要があるかが見えやすくなります。

特に、前述の口頭同意の確認や、受領後の自動消去に備えた保存の手順は、医師や医事部門との役割分担に関わります。

早い段階で関係部署と話し合っておくと、運用開始後の混乱を抑えられるでしょう。

2)院内外への周知を計画する

運用開始は、医療機関等の準備が完了次第、順次とされています。

そのため、地域の中では電子送付に対応した医療機関とまだ対応していない医療機関が混在する期間が生じることも考えられます。

主な紹介元・紹介先の対応状況を把握し、紙と電子の両方を前提に案内できるようにしておくことが求められるでしょう。

紹介に関わる業務の進め方を変える際には、院内の医師への説明と、地域の医療機関への周知の両方が欠かせません。

紹介に関わる業務を紙からデジタルへ移した取り組みとして、紹介予約をFAXからWEBへ移行した病院の事例をご紹介します。

<事例>紹介予約のWEB化を院内外に浸透させた取り組み

大阪赤十字病院様

大阪赤十字病院様は、大阪市天王寺区の高度急性期病院です。

紹介予約のすべてをFAXで対応しており、救急対応業務が入ると予約処理の対応が遅れることがありました。
メディグルの予約システムの導入にあたっては、各診療科の部長・20名以上の医師と個別にスケジュールを調整して説明を行い、運用開始前にはチラシとマニュアルを連携医療機関に郵送し、広報誌にもWEB予約について掲載して周知されました。

テスト運用後にはアンケートを取り、入力項目を任意化するなどの改善を重ね、診療21科・検査2科でWEB予約を開放されています。

事例全文はこちら >> 「FAXからWEBへ。紹介患者受付業務をスリム化し、地域のニーズに応える。」

5.紹介状の電子化を地域全体で進めるために

電子カルテ情報共有サービスは、令和8年度冬頃の全国での運用開始を目標に準備が進められており、紹介状を紹介先へ電子送付する仕組みを含んでいます。

口頭同意の確認や受領後の保存、受け入れ調整との組み合わせなど、運用を考えるうえで地域医療連携室が関わる場面は少なくありません。

紹介状は、地域の医療機関同士をつなぐ連携の起点となる文書です。

その電子化は、自院だけでなく紹介元・紹介先の医療機関とそろって進めることで、地域全体の連携をよりスムーズにすることにつながるでしょう。

メディグルでは、地域医療連携から医療のしくみをより良いものにしていくことを目指しています。

メディグルの予約システムでは、紹介予約の際に紹介状をアップロード・作成できる機能も備えています。

地域医療連携に関わるお悩みがあれば、メディグルがトータルでサポートいたします。

お気軽にご相談ください。

今から取り組めること
・自院の紹介状の送付・受け取りの経路(郵送・持参・FAXなど)と担当者を一覧にしてみましょう
・情報システム部門に、電子カルテの次回更改の時期とオンライン資格確認の導入状況を確認してみてはいかがでしょうか
・紹介状を電子で受け取ったときの確認・院内への保存の担当と手順を、医事部門と話し合っておきましょう
・主な紹介元医療機関への訪問時に、電子カルテの更新予定や電子送付への関心を尋ねてみましょう
・医療機関等向け総合ポータルサイトで、電子カルテ情報共有サービスの最新情報を定期的に確認しましょう

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