導入事例
地域医療連携システム「メディグル」を導入された
病院様の活用事例をご紹介
2025.09.11
松戸市立総合医療センターは、千葉県東葛南部医療圏において高度急性期医療を担う地域の中核病院です。救命救急センターや総合周産期母子医療センターなどの機能を有し、地域に根ざした医療体制の構築に取り組んでいます。
今回は、地域連携室の室田様に、メディグル予約を導入された背景や、導入後どのように業務が改善されたのか、お話をうかがいました。
・電話での予約対応に1件あたり約15〜20分かかり、他の電話に出られない状況が常態化
・予約入力や確認作業が時間外にずれ込み、職員の業務負担となっていた
・1日あたりの電話未応答件数が19件から6件に減少し、約68%の改善を実現
・紹介予約の対応件数が増加する中でも全体の業務効率が向上し、時間外勤務はむしろ減少
ーまず、メディグル予約導入前の予約受付業務にはどのような課題がありましたか?
当院では紹介予約を、患者さんからのお電話や窓口への来院、紹介元医療機関からのお電話・FAXで受け付けています。そのうち約75%を電話で対応しており、その多くが患者さんご本人やご家族からのご連絡でした。高齢の方も多く、症状や希望日時などを丁寧にうかがう必要があるため、1件あたりの対応時間は15~20分程度と長くなりがちでした。
当然その間は他の電話が取れず「何度かけてもつながらない」といったクレームが寄せられることもありました。予約の電話受付は4名体制ですが、交代勤務のため常時全員が対応できるわけではなく、物理的な限界も感じていました。
加えて、予約内容の入力や確認作業が勤務時間外にずれこむことも多く、職員の負担が非常に大きい業務となっていました。業務の正確性を保とうとすればするほど時間がかかってしまい、「何とか効率化できないか」という思いは常にありました。
ーWEB予約の導入を検討した背景を教えてください。
予約が取りづらいという状況が慢性化していた中で、患者さんが他の病院へ流れてしまう可能性があることに危機感を抱いていました。病院経営の観点からも患者さんに選ばれないことは避けたいですし、患者さんにとっても不便な状況だったと思います。
また、令和6年度からの医師の働き方改革の本格化により、予約外の受診を減らし、診療時間をコントロールしていく必要性も高まっていました。こうした課題に対応するには、電話に依存しない予約の仕組みが不可欠であり、その手段としてWEB予約の導入は非常に有効だと感じました。
ー数あるサービスの中で、メディグル予約を選んだ決め手は何でしたか?
もともとメディグル検索を導入していたという背景があり、同じ運営会社が提供する予約システムであれば連携や運用もスムーズだろうという安心感がありました。
他社との比較も行いましたが、費用やランニングコストだけでなく、既存の関係性や対応の丁寧さも含めて総合的に判断し、メディグルを選びました。新しいツールを導入する際には、信頼できるパートナーかどうかが非常に大切だと考えています。
※松戸市立総合医療センターHP「連携登録医療機関一覧」にメディグル検索を利用
ーありがとうございます。導入に向けて、院内で調整されたことや工夫された点はありますか?
予約枠の設定については、院内調整を行いました。当初は「WEB専用枠」を新設する案もありましたが、「外来の診療時間が延びてしまうのでは」といった診療科側の懸念もあったため、既存の予約枠の一部をWEB予約に優先的に割り当てる方式を採用しました。
あわせて、予約の対象を「医療機関からの紹介」に限定することで、予約内容の精度や質も担保できるようにしています。
運用は令和6年4月に5診療科・週21枠からスタートしました。初期段階では、間口が広く予約指定の少ない診療科を中心に、無理のない範囲でミニマムに運用を開始。その後は、診療科や職員の負担に配慮しつつ、段階的に枠を拡大し、現在では17診療科・週69枠まで広がっています。
※松戸市立総合医療センターHP「患者さんのご紹介について」にてWEB予約可能な診療科を掲載
ー導入時のサポート体制について、印象に残っていることがあれば教えてください。
導入初期、病院として電話ですぐ問い合わせができるサポート体制を求めていたため、その点を相談したところ、迅速にサポートデスクを立ち上げていただきました。複数の担当者がチームで対応してくださるので、急ぎの確認にも対応いただけてとても助かっています。
現在ではスタッフも運用に慣れ、システム操作や設定の問い合わせもほとんどなくなりましたが、こうした体制があること自体が大きな安心材料になっています。
ー運用を始めてから、業務にどのような変化がありましたか?
まず、「電話がつながらない」という課題が大きく改善されました。令和5年度(5〜8月)の未応答件数は1日あたり平均19件でしたが、令和6年度(5~8月)には6件まで減少し、約68%減が実現できました。もともと電話での紹介予約件数が多かったリピーターの医療機関がWEB予約へと移行したことも、効果に寄与しているのではないかと考えています。
また、予約業務全体の対応件数は年々増加しているにもかかわらず、職員の時間外労働はむしろ減少傾向にあります。通常であれば対応件数が増えれば業務負担も増し、時間外対応が増えるのが自然ですが、WEB予約の導入によって電話件数が一定数吸収されたことに加え、導入時に体制を見直し、予約受付を担う専任スタッフを明確に配置したことが奏功しました。職員のスキル向上も相まって、業務全体の効率化が着実に進んでいると感じています。
さらに、小児科の予約外受診の減少もみられました。もともと小児科は予約外での受診が非常に多く、診療現場への負担がありました。導入当初から最も多くのWEB予約枠を設け、積極的に予約受診へと移行した結果、WEB予約利用件数は全診療科で最多となりました。
そして、令和5年度(5〜8月)には1日平均34件あった小児科の予約外受診が、令和6年度(5~8月)には27件に減少。1日あたり平均7名の削減が見られました。
予約外での受診、特に初診患者さんは診察に時間がかかることが多く、医師の診療負担が重くなりがちです。外来の診療時間の短縮にも少しずつ寄与してきていると感じています。
もちろん、感染症流行など年度による外的要因の違いはあるものの、WEB予約導入とそれに伴う受診スタイルの啓発が、紹介元にも患者さんにも浸透しつつあると感じています。実際、令和7年度に入ってからも予約外受診は継続的に減少傾向にあり、紹介元医療機関への案内を通じた啓発の効果が徐々に現れてきていると考えています。
ー紹介元医療機関からの反応など、WEB予約を導入して良かったと感じる点を教えてください。
受付時間を気にせず予約できる点については、特に好評をいただいています。紹介元の中には、当院の受付時間外や土日にも診療を行っている医療機関も多く、「時間を気にせず予約できるのは非常に助かる」との声が多く寄せられています。
また、特にご高齢の患者さんの場合、電話であってもご本人で予約を取ることが難しい場合もあり、紹介元の医療機関がその場で予約を取り予約票まで渡せるという点は、患者さん・紹介元の双方にとってメリットが大きいようです。
予約方法の選択肢が増えたこと自体も、1つのメリットだと思います。特にWEB予約は、空き状況をリアルタイムで確認しながら、その場でスムーズに予約を完結できるため、折り返しの確認などが不要になり、事務的なやり取りの簡素化にもつながっています。実際にご利用いただいた医療機関からは「簡単に予約できた」といったポジティブな声をいただいています。
ーWEB予約の活用をさらに進めるうえで、今後取り組みたいことは何でしょうか。
引き続き、WEB予約の予約枠や対象診療科をさらに拡大し、運用の幅を広げていく予定です。また、現在もFAXや電話と並行して予約を受け付けているため、WEB予約の空き状況をチェックしながら、臨機応変な対応を心がけています。
さらに、患者さんご本人による直接予約の導入検討など利便性を高める一方で、予約の質をどう担保するか状況に応じて慎重に判断しながら、より良い運用体制を目指していきます。
一方で、「専用端末がない」「パソコンのネット環境が整っていない」などの理由により、アカウント登録はしていても実際の利用には至っていない医療機関も少なくありません。WEB予約の利便性は評価されているからこそ、こうしたハードルを乗り越えより多くの医療機関に実際の利用につなげていけるよう、ご案内やフォローアップを強化していきたいと考えています。
昨年12月に「小児・周産期医療」をテーマとした地域医療連携セミナーを開催したところ、大変好評をいただきました。今年度もテーマを変えて複数回の開催を予定しています。このような場を通じて、WEB予約の活用方法や実際の導入効果などを共有することで、紹介元の医療機関にも具体的な活用イメージを持っていただき、信頼関係の構築と利用促進の両面につなげていきたいです。
ー最後に、メディグル予約に今後期待することがあれば教えてください。
新たな機能というよりは、今のように安定したサポート体制を継続していただくことが、現場にとっては何より心強く感じています。
病院業務の中で安心して使えるシステムであること、何かあったときにすぐ相談できる体制があること。そういった当たり前が継続されることが、大切であると実感しています。
松戸市立総合医療センター
所在地:千葉県松戸市千駄堀993番地の1
病床数:総数600床(一般病床592床、感染症病床8床)
松戸市立総合医療センターのホームページはこちら
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